カテゴリ : Exotic Grammar
掲載: 2010年01月13日 19:47
更新: 2010年02月19日 16:36
interview&text:小沼純一(音楽・文芸批評家/早稲田大学教授)

すみだトリフォニーホールでは《ゴルトベルク変奏曲》のコンサートを連続しておこなっている。グールドが切り拓いたこの作品へのさらなる演奏=解釈を試みる人物(たち)を探し、ステージにあげる。作品と演奏=解釈というものの生きた姿を、まさに、録音ではなく、ライヴで提示する。ピアノ、アコーディオン、オルガンといった楽器によるアプローチを経て、2010年2月には、清水靖晃&サキソフォネッツが姿をあらわす。これは、たとえば他国でやったものを持ってくるのではない。すみだで初演される、すみだでつくられる、いま、この文章を読んでいる時点でリハーサルを重ね、アレンジも手を加えられつつあるプロジェクトだ。
清水靖晃はバッハ《無伴奏チェロ組曲》をサックスで録音し、『CELLO SUITES』として結実している。すみだトリフォニーにおいてアンサンブルで演奏したのは2000年。それからちょうど10年。新たな《ゴルトベルク》の誕生だ。
おもいだしておこう。『CELLO SUITES』がどうだったかを。
通常のテンポの楽章もあれば、ほとんどスローモーションのような楽章もあり、あるいは、複数の音が重なりあうところもあった。バッハの名曲を、ただ、サックスでやりました、というのとはちがう、清水靖晃ならではの音楽があり、バッハに関心のあるところはもちろん、無縁のところでも評判になった。実際、メディアでもCFなどで耳にしたひとも多いはずだ。たとえばシネフィル・イマジカ。リリースされているヨーロッパ系シネマのDVDでは、ロゴがくるくるまわる部分で、バッハもどきのサックスの上下するアルペッジョがひびく──ああ、清水靖晃の音だとすぐわかる特徴的な一節。
さて、そうして生まれんとする《ゴルトベルク》をめぐって、話を聞いてみることにしよう。それも、あくまでワーク・イン・プログレス、まだ始まったばかりの段階でのインタヴューの記録として。
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